こんにちは、院長の宮脇大です。
先日、40代の患者さんからこんな相談を受けました。
「先生、食事には気をつけているのに、健診でホモシステインが少し高めと言われて・・。なんでですかね??」
食事に気をつけている、野菜も食べている、なのに。
この「なのに」の答えのひとつが、MTHFR遺伝子にあるかもしれません。
ホモシステインって、なんですか?
まず「ホモシステイン」を簡単に説明しますね。
ホモシステインとは、血液中に存在するアミノ酸の一種です。
タンパク質を分解するときに体の中で自然につくられるんですが、 これが血中にたまりすぎると、血管の内壁を傷つけて動脈硬化を進めるんです。
心筋梗塞や脳卒中のリスクと関係が深いことが知られています。
葉酸が「ホモシステインを減らす」ってどういうこと?
ここで登場するのが、みなさんもご存知の葉酸(ようさん)です。
葉酸は、ホモシステインを体に必要なアミノ酸(メチオニン)に変換する反応に 欠かせない栄養素なんです。
ざっくり言うと、
葉酸(+ビタミンB12)が「掃除係」として、ホモシステインを分解してくれる
というイメージです。
だから、「野菜をちゃんと食べて葉酸を摂っていれば大丈夫」 ・・というのが普通の話なんですが。
MTHFR遺伝子が絡んでくると、話が変わる
MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)という、 ちょっと難しい名前の酵素があります。
この酵素の役割は、 「食べ物から摂った葉酸を、体が使える”活性型”に変える」こと。
そして、この酵素をつくる遺伝子が MTHFR 遺伝子です。
ここに C677T多型(シー・ろくなな・ティー・たけい) という変異があると、 この酵素の働きが低下してしまうんです。
日本人の約7割が持っている、珍しくない変異
驚くのは、この変異の頻度です。
日本人を調べると、おおよそ、
- CC型(変異なし):約30%
- CT型(変異1コピー):約50%
- TT型(変異2コピー):約16〜20%
つまり、約70%の方が何らかの変異を持っているんです。
CT型は軽度の影響、TT型はより影響が大きく、 活性型葉酸への変換効率がCC型の約30%程度まで落ちるとされています。
珍しい体質ではなく、むしろ「日本人の標準的な体質のバリエーション」と言えます。
TT型だと、具体的にどんな影響がある?
TT型の方の傾向として、
- 血中の葉酸濃度が低くなりやすい
- 血中のホモシステイン濃度が高くなりやすい
- 結果として、動脈硬化リスクが上がりやすい
という研究データがあります。
「普通に食事をしているのに、なぜかホモシステインが高め」 という方の中に、TT型の方が多い印象があります。
また、妊娠中の神経管閉鎖障害のリスクとの関連も指摘されていて、 妊娠希望の女性にとっても知っておきたい遺伝子情報です。
でも、「知っていれば対策できる」んです
ここが大事なところです。
TT型の方でも、葉酸を十分に摂れば、ホモシステインを下げられることが 研究で確認されています。
「葉酸の活性化効率が低い体質」なら、 より積極的に葉酸をとれば補えるんですね。
具体的には:
食事から摂る場合
- ほうれん草・小松菜・ブロッコリーなどの緑葉野菜
- 枝豆・大豆・納豆などの豆類
- 肝臓(レバー)
サプリメントの場合 TT型の方は、通常の「葉酸(folic acid)」より、 活性型葉酸(メチルフォレート)のほうが吸収・利用効率が良いとされています。
(ここは、医師と相談のうえで選ぶことをおすすめします)
さらに、ビタミンB6・B12も組み合わせることで、 ホモシステイン低下効果が高まります。
そして面白いことに、運動習慣がある方はホモシステインが高くなりにくいという データも出ています。TT型の方も、運動の効果は十分あるんです。
こんな方は、MTHFR遺伝子を調べることを検討してみて
- ご家族に心筋梗塞・脳卒中の方がいる
- 健診でホモシステインが基準値上限あたりをウロウロしている
- 妊娠を希望している、または妊活中
- 葉酸サプリを飲んでいるのになんとなく効いている感じがしない
これらに当てはまる方は、MTHFR遺伝子の情報が役に立つかもしれません。
「知ること」が予防の第一歩
遺伝子と生活習慣病の関係の記事でもお伝えしたように、 遺伝的リスクは「決定」ではなく「傾向」です。
MTHFR遺伝子の変異があっても、 食事・サプリ・運動で対策できるのが、この体質の心強いところ。
自分の遺伝的体質を知った上で、 「じゃあ、自分はどう予防する?」を考えていける、それがゲノム医療の魅力です。
Doctor’s Fitness 診療所の「ゲノムでYOBO相談」では、 GreenChord遺伝学的検査をもとに、 血管リスクや代謝の体質を含めて、医師と一緒に予防プランを考えることができます。
「自分のMTHFRって、どのタイプなんだろう?」と気になった方は、 まずはLINEでお気軽にご相談くださいね。
それでは、また!