こんにちは、院長の宮脇大です。
「先生、うちは家族みんな太ってるんです。体質なんでしょうか・・?」
こういう質問、外来でよく聞きます。
お気持ち、すごくよく分かります。 ダイエットをがんばっても効果が出にくい。 食べる量は友達と変わらないのに、自分だけ太る・・。
そういう経験が重なると、 「もしかして、自分の体質がおかしいのかな」 と思いたくなりますよね??
今日は、肥満と遺伝子の関係について少し掘り下げてみますね。
「太りやすさ」に遺伝子は関係するの?
結論から言うと・・
関係します。ただし、遺伝だけで太るわけではありません。
以前の記事「遺伝子と生活習慣病の関係」でもお話ししましたが、 肥満も多くの場合「多因子疾患」です。
遺伝的な素因(太りやすい体質かどうか)+生活習慣(食事・運動・睡眠) この2つが組み合わさって、体型は決まっていきます。
つまり、遺伝子が「太りやすいよ」と言っていても、 生活習慣次第で十分コントロールできる、ということです。
注目の遺伝子①:FTO遺伝子
肥満に関わる遺伝子として最も研究されているのが、 FTO遺伝子(Fat Mass and Obesity Associated gene)です。
直訳すると「脂肪量と肥満に関連する遺伝子」という、 そのまんまの名前ですね(笑)
FTO遺伝子には「リスク型」と「標準型」があって、 リスク型の方には以下のような傾向があると報告されています。
- 食欲が抑えにくい(満腹感を感じにくい)
- 高カロリー食を好む傾向がある
- 新陳代謝がやや低め
つまり、「同じものを食べても太りやすい」という体質に つながりやすいわけです。
「同じ量食べてるのに、なんで私だけ??」 という疑問に答えてくれる遺伝子の一つかもしれません。
注目の遺伝子②:ADRB3遺伝子(日本人に多い!)
もう一つ、特に日本人との関係で注目されているのが、 ADRB3遺伝子(β3アドレナリン受容体遺伝子)です。
この遺伝子は、脂肪を燃やすときに大事な「脂肪分解のスイッチ」 のような役割をしています。
ADRB3遺伝子に「Trp64Arg(トリプトファン64アルギニン)」 という変異があると、
- 安静時の代謝量が下がる
- 脂肪が燃えにくくなる
- 特に内臓脂肪が蓄積しやすくなる
という傾向が報告されています。
そして驚くべきことに・・ この変異、日本人の約34%に見られるんです。
3人に1人以上が持っている変異なんですね。
「ダイエットしてるのになかなか痩せない・・」という方の中に、 このADRB3変異を持っている方が少なくないかもしれません。
では、どうすればいいの?
「そんな遺伝子があったら、ダイエットしても意味ないんじゃないですか・・」
・・そうは思わないでください!
大事なのは、自分の体質に合った戦略を選ぶことです。
例えば、ADRB3変異がある方の場合、 安静時の代謝量が低めになりやすいので、
- 筋肉量を増やす(筋トレ)でベースの代謝を上げる
- 食事の質(脂質の量や食べる時間帯)を意識する
- こまめに動く習慣で1日のトータル消費カロリーを増やす
こういったアプローチが特に有効と考えられています。
運動の向き・不向きと遺伝子の関係の記事も参考にしてみてくださいね。
一方、FTO遺伝子のリスク型の方は、 食欲の調節が難しくなりやすいので、
- 食事の記録をつける(食欲に気づく習慣づくり)
- ゆっくりよく噛んで食べる(満腹感を感じやすくなる)
- 高カロリー・高脂肪食を意識して減らす
こういったアプローチが役立つと言われています。
「なんとなくダイエット」から「根拠のある予防」へ
遺伝子情報を知ることで、 「なぜ自分は太りやすいのか」の理由が少し見えてきます。
原因が分かれば、対策も立てやすくなりますよね。
「遺伝子のせいだから諦める」のではなく、 「遺伝子の特性を知った上で、賢く対策する」。
これが、私が皆さんにお伝えしたいことです。
Doctor’s Fitness 診療所の「ゲノムでYOBO相談」では、 GreenChordの遺伝学的検査を通じて、 こういった体質の傾向を医師が一緒に読み解いていきます。
「太りやすさだけでなく、糖尿病・心疾患のリスクも気になる・・」 という方にも、複合的な体質チェックをまとめてご提供できるのが このサービスの特徴です。
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次回は、「睡眠と遺伝子」の話をしてみようと思います。 「朝型・夜型って遺伝子で決まるの?」という疑問に答えますね。
それでは、また!