こんにちは、院長の宮脇大です。

先日、患者さんからこんな質問をいただきました。

「先生、ダイエットするなら有酸素運動と筋トレ、どっちがいいんですか??」

・・よく聞かれるんですよね、これ。

ジムでも、ネットでも、「有酸素派」と「筋トレ派」で意見が割れていて、 どっちが正しいのか分からない、という方が多いと思います。

今日はちょっと違う角度からこの質問に答えてみますね。

実は、どちらが「向いているか」は、遺伝子によって違うんです。

「運動の向き・不向き」を決める遺伝子がある

結論から言うと・・

人間の筋肉には大きく分けて2種類の筋繊維があります。

  • 速筋(白筋): 瞬発力が得意。短距離走や重いものを持ち上げるときに活躍する
  • 遅筋(赤筋): 持久力が得意。マラソンや長時間の有酸素運動に向いている

そして、あなたの筋肉がどちらのタイプに寄っているかは、 遺伝子の影響を大きく受けているんです。

代表的なのが、ACTN3(アクチニン3)遺伝子です。

ACTN3遺伝子ってなに?

ACTN3遺伝子は、速筋の中にある「α-アクチニン3」というタンパク質を作る設計図です。

このタンパク質、爆発的な力を生み出すときにとても大事な役割を果たします。

この遺伝子には「R型」と「X型」という2つのタイプがあって、 組み合わせによって3パターンに分かれます。

RR型(R×R)

α-アクチニン3がしっかり作られます。 速筋が活躍しやすく、瞬発力や筋力が出やすいタイプです。 筋トレや短距離走、パワー系スポーツに向いていると言われています。

XX型(X×X)

α-アクチニン3がほとんど作られません。 一見、損なように聞こえますが・・ 実は持久力の指標である最大酸素摂取量(VO₂max)が高い傾向があり、 マラソンや水泳など、有酸素系の持久スポーツに向いているタイプです。

RX型(R×X)

RRとXXの中間のバランス型。 どちらの運動もそこそここなせる「オールラウンダー」です。

ちなみに・・日本人はXX型の割合が比較的高いと言われています。 世界的に見ると、長距離走や持久系スポーツが得意な傾向があるのも、 こういった遺伝的背景があるのかもしれませんね。

もう一つ重要な「ACE遺伝子」

ACTN3と並んでよく研究されているのが、ACE遺伝子です。

ACEは血圧の調節に関わる酵素を作る遺伝子ですが、 運動能力にも深く関係していることが分かっています。

こちらも3パターン。

  • II型: ACE酵素の活性が低め。持久力が出やすいタイプ。長距離走者に多い傾向
  • DD型: ACE酵素の活性が高め。筋力・瞬発力が出やすいタイプ
  • ID型: 中間のバランス型

2つの遺伝子を組み合わせると?

ACTN3とACEを組み合わせると、さらに細かく傾向が見えてきます。

例えば、

  • ACTN3: RR型 × ACE: DD型 → パワー・筋力系が得意な傾向
  • ACTN3: XX型 × ACE: II型 → 持久力・有酸素系が得意な傾向

もちろん、どの組み合わせでも「筋トレが絶対向いていない」とか 「マラソンは無理」ということにはなりません。

あくまでも「体質的な傾向」の話です。

でも、遺伝子がすべてじゃない

ここで大事な話をさせてください。

「じゃあ遺伝子が筋トレ向きじゃないなら、筋トレしても無駄?」

・・ぜんぜん、そんなことはありません!

遺伝子は「出発点」や「伸びやすい方向」を示してくれるものですが、 トレーニングの積み重ねや生活習慣で、大きく変わっていきます。

実際、XX型の方でも正しい筋トレをすれば筋肉はしっかりつきますし、 RR型の方でも有酸素運動の効果はちゃんと出ます。

遺伝子情報が役に立つのは、「どちらを優先すると効率がいいか」 という戦略を立てるときです。

「なんとなく毎日走っているけど、なかなか効果が出ない・・」 「筋トレをがんばっているのに、体重が落ちない・・」

こういう悩みを持っている方が、自分の遺伝子タイプを知ることで 「あ、自分には有酸素より筋トレが向いてたのか」と気づいて 運動習慣が劇的に変わることがあるんですよね。

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次回は、「脂質代謝と遺伝子」についてお話しする予定です。 コレステロールが高くなりやすい体質、実は遺伝子で分かることがあるんです。

それでは、また!

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