こんにちは、院長の宮脇大です。
「毎年健診を受けているし、ずっと異常なし。だから大丈夫だと思っていたのに・・」
そんなケースに、時々出会います。
循環器の分野でも、「健診で正常だったのに、突然心筋梗塞に」という方が、やはり時におられます。
「異常なし」という言葉に安心するのは、当然のことだと思います。でも今日は、あえてお伝えしたいことがあります。
健診が見ているのは「今の状態」
健康診断というのは、非常に優れた仕組みです。血液検査・血圧・心電図・画像検査などを通じて、今の体の状態をスナップショットとして捉えることができます。
ただし——
健診は「今」を見るもので、「将来のリスク」は、必ずしも見えません。
そして、もう一つ大きな盲点があります。
遺伝的リスクは、健診では絶対に見えない。
どれだけ精密な健診を受けても、「あなたは遺伝的に心疾患になりやすい体質か」「糖尿病になりやすい遺伝的背景があるか」は、ゲノムを調べない限り分からないんです。
FHの例:健診正常でも、突然の心筋梗塞
家族性高コレステロール血症(FH)の記事でも書きましたが、FHの方は生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい遺伝的体質を持っています。
若い頃は症状がありません。健診の血液検査で「LDLコレステロールが高い」となっても、若いから「食事に気をつければいいかな」と思って終わることが多い場合もあります。
でも、LDLの高値が長年にわたって血管に影響し続けた結果——40代・50代で突然、心筋梗塞を起こすことがあります。
「健診結果は、そんなに悪くなかったのに」と驚く方が多い。でも実は、遺伝的リスクがずっとそこにあったんです。
糖尿病の例:ギリギリ正常でも、リスクは蓄積している
糖尿病でも、似たような話があります。
2型糖尿病と遺伝の記事で詳しく書きましたが、2型糖尿病は複数の遺伝的要因と環境要因が重なって発症する多因子疾患です。
遺伝的リスクが高い方は、健診の血糖値がまだ「正常範囲内」であっても、インスリン分泌能が少しずつ低下していることがあります。「数値はギリギリ大丈夫」でも、体の内側では変化が起きている可能性がある。
「正常範囲」というのは、集団全体の基準値で設定されているものです。「あなた個人の将来リスク」とは、別の話なんです。
「異常が出てから対処」から、「出る前に予防」へ
現代の医療は「症状・異常が出たら対処する」という形が基本です。それ自体は必要なことです。
でも、もう一つのアプローチがあります。それが予防医療の視点です。
異常が出る前に「リスクがある」と分かっていれば、対処のタイミングを早められる。
FHがあると分かっていれば、わかった時点で、スタチンを検討することができます。糖尿病リスクが高いと分かっていれば、血糖値がまだ正常なうちから食事と運動を本気で見直せます。
「病気になってから」ではなく「なる前に」——それが、ゲノム情報を活かした予防医療の考え方です。
健診と遺伝的リスク、両方を持つ
誤解しないでほしいのですが、健診を否定したいわけではありません。
健診は、今の状態を把握するために非常に大切なものです。
ただ、健診だけでは見えないものがある。遺伝的リスクという「もう一つの物差し」を加えることで、より精度の高い自己管理ができると思っています。
Doctor’s Fitness 診療所では、「ゲノムでYOBO相談」を通じて、遺伝的リスクを可視化した上で医師と一緒に予防計画を立てる仕組みをご提供しています。
「毎年健診は受けているけど、自分の遺伝的なリスクは知らないな・・」という方に、ぜひ一度検討していただけたらと思います。
「ゲノムと健診、どう組み合わせればいいか相談したい」という方は、まずはLINEでお気軽にご相談ください。
それでは、また!