こんにちは、院長の宮脇大です。

「お酒が弱くて、飲み会のたびに気まずい思いをしています」

診察室でこんな話を聞くことがあります。

「鍛えたら飲めるようになる」「慣れだよ」なんて言われたことがある方もいると思います。

でも、正直に言います。

それは、遺伝子のタイプで決まっているんです。

鍛えても、慣れても、根本的には変わりません。

アルコールが体の中で分解される仕組み

まず、お酒が体の中でどうなるかを簡単に説明しますね。

アルコール(エタノール)は、飲むと肝臓で分解されます。 最初に「アセトアルデヒド」という物質に変わります。

このアセトアルデヒドが、実は厄介者なんです。 頭痛、吐き気、顔の赤み、動悸——お酒を飲んで気持ち悪くなるのは、アセトアルデヒドのせいです。

このアセトアルデヒドを分解してくれる酵素が、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2型)です。

ALDH2がしっかり働けば、アセトアルデヒドがすみやかに分解されて、気持ち悪くならずに飲める。 ALDH2の働きが弱いと、アセトアルデヒドが体に溜まって、すぐに気持ち悪くなる。

これが「飲める人・飲めない人」の正体です。

ALDH2遺伝子の3タイプ

ALDH2の働きは、遺伝子のタイプ(Genotype)によって決まります。

大きく3つに分かれます。

① 活性型(NN型) ALDH2が正常に働くタイプ。アセトアルデヒドをしっかり分解できる。 いわゆる「お酒が強い人」です。日本人の約55%がこのタイプ。

低活性型(ND型) ALDH2の働きが半分程度に低下しているタイプ。 飲むと赤くなる、少量でも酔いやすい。日本人の約40%がこのタイプ。 「飲めるけど、すぐ赤くなる」という方は、ほぼここです。

③ 非活性型(DD型) ALDH2がほとんど機能しないタイプ。 少し飲んだだけで気持ち悪くなる。日本人の約5%がこのタイプ。

合計すると、日本人の約45%(ND型+DD型)がアルコール分解能力が低いタイプを持っています。

つまり、「お酒が弱い」日本人はかなり多いんですよね。

「弱いけど飲んでいる」が一番危ない

ここからが、医師として一番伝えたい部分です。

低活性型や非活性型の方が、無理して継続的に飲酒すると、リスクが上がる疾患があります。

その代表が、食道がんです。

アセトアルデヒドは、国際がん研究機関(IARC)がグループ1の発がん物質に指定しています。 低活性型・非活性型の方は、アセトアルデヒドが体に長く留まるため、食道への影響が出やすいとされています。

研究では、低活性型の方が毎日飲酒を続けると、食道がんリスクが活性型の数倍になるという報告もあります。

また、肝臓への負担も大きくなりやすいです。

「弱いのに無理して飲む」というのは、からだへの負担という観点では、一番避けてほしいパターンです。

「お酒が弱い」は、むしろ大事な情報

「お酒に弱いのが恥ずかしい」と思っている方がいたら、発想を変えてみてほしいんです。

「自分はALDH2低活性型だから、お酒は控えめにする」という判断ができる。 これは、自分の体を守るための大事な情報なんです。

遺伝的なタイプを知ることで、「なんとなく控える」から「根拠を持って控える」に変わります。

ゲノム検査でALDH2のタイプを調べることができます。 「自分が何型か気になる」という方は、一度ゲノム検査を検討してみてください。

ゲノムと生活習慣病の関係については、こちらの記事でも触れています。 また、ゲノムと私の研究の話(前編)でも、ALDH2の仕組みについて少し触れています。


「自分のALDH2タイプを知りたい」「ゲノム検査について詳しく聞きたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

それでは、また!

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