こんにちは、院長の宮脇大です。

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、Doctor’s Fitness 診療所では予防医療を推進しています。

予防医療といっても、一気になんでもできるわけではないので、一つひとつ積み上げていくしかありません。そのキーワードが「PHR」と「ゲノム」です。

PHRについては別の機会に書くとして、今回はゲノムについてお話しします。

ゲノムって、そもそも何?

ゲノムとは、いわゆる「遺伝子」のことです。

遺伝子の中には、自分の身体をつくる設計図のようなものが入っています。 身体の「体質」を決めているのも、あの設計図なんですよね。

日本人は背が低くて、オランダ人は背が高い。 皮膚の色が違う。 目が2つあって、鼻が1つある。 心臓はここ、肝臓はここ。

こういったことは、全部ゲノム・遺伝子という設計図が決めています。 結構、細かく決まっているものなんです。

息子の眉毛に「ゲノム恐るべし」と思った話

顔が親子で似ているのは、遺伝ですよね。

うちの2人の子供(小学生)は、私と同じ「一重まぶた」です。

私には、眉毛が少し切れているところがあるんですが——息子も、全く同じ場所が切れているんですよ。

ゲノム、恐るべし。

表面的な身体の構造や雰囲気がゲノムに支配されているわけなので、当然、身体の内側もゲノムに支配されています。

お酒が飲める人・飲めない人、その差もゲノム

アルコールが飲める人、弱い人、全く飲めない人に分かれていますよね。

これは「飲める or 飲めない」という表面的な差ですが、身体の中では、肝臓でアセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」がどれだけ頑張って働いてくれるか、という話です。

そのALDH2の設計図は、ゲノムの中にある。 つまり、「ALDH2遺伝子の遺伝型」によって、飲める・飲めないが決まっているわけです。

病気も同じです。糖尿病になりやすい人、高血圧になりやすい人、心臓病になりやすい人——生活習慣病と呼ばれていますが、それなりの割合が「ゲノム・遺伝子」によって規定されています。

「太りやすい人と太りにくい人がいる」と感じたことはありませんか?

平均より 1.13倍太りやすい といった具体的な数値が、ゲノム検査を通じてみえてくることがあります。なんとなくの感覚が、数字になる感じです。

実は、私自身のLDLが高い

診療所には脂質異常症・高コレステロール血症の方も多くいらっしゃいます。 遺伝的にそうなってしまう方が、かなり多いんです。

痩せていて、食生活もそれほど乱れていないのに、LDL(悪玉コレステロール)が高い——そういう方は少なくありません。

実は、私もそのひとりです。

私のLDLは、だいたい180くらいあります。

生活習慣を改善しても、運動習慣をつけても、数値はあまり変わらなかった。

当時、大阪大学の大学院にいたので、脂質異常症の研究をされている方(日本でもトップクラスの研究者です)が近くにいました。研究対象として、私自身のゲノムを調べてもらいました。

結果は——しっかり、遺伝子のタイプの影響がありました。

「おぉ、やっぱりそうなんだ」という感じでしたね。

生活習慣で改善できる部分と、遺伝的な素地として受け入れていく部分がある、ということを、自分のデータで実感した瞬間でした。

「遺伝子異常」という言葉について

ひとつ補足を。

さきほど「遺伝子のタイプ」と書きましたが、医療の文脈では「遺伝子異常」という言葉が使われることもあります。でも「異常」という表現は、なんとなく不安にさせてしまいますよね。

私は「遺伝子のタイプ」という言い方が好きです。

小学校でメンデルの法則を習った時、「優性遺伝・劣性遺伝」という言葉を聞いたと思います。最近はこれを「顕性遺伝・潜性遺伝」と言い換えるようになっています。「優れている・劣っている」という誤解を招かないようにするためです。

遺伝子も同じ。「異常」ではなく「タイプ」として捉えると、少し気持ちが楽になりませんか?

この遺伝子のタイプのことを、Genotype(ジェノタイプ) と呼びます。


生活習慣病と遺伝の関係については、以前こちらの記事でも詳しく書いています。

遺伝子と生活習慣病の関係をわかりやすく解説

次回(後編)では、このGenotypeを実際の医療にどう活かしていくのか——私が大学院時代に研究していた拡張型心筋症の話や、がん治療での層別化の話、そしてPrecision Medicine(個別化医療)と予防医療の繋がりについて、お話ししようと思います。


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それでは、また!

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