こんにちは、院長の宮脇大です。
「母が認知症になったんです。自分もなるんでしょうか・・」
こういう相談を、外来で受けることがあります。
ご家族が認知症になると、「次は自分かもしれない」という不安って、なかなか消えないですよね。
今日は、アルツハイマー病と遺伝子の関係について、できるだけ正直にお話しします。
APOE遺伝子とは
アルツハイマー病と最も関連が深いとされている遺伝子が、APOE(アポリポプロテインE)遺伝子です。
APOEは、脂質の代謝に関わるタンパク質を作る遺伝子で、脳内でもアミロイドβというタンパク質の除去に関与しています。 アルツハイマー病は、このアミロイドβが脳に蓄積することで発症すると考えられています。
APOE遺伝子には、主に3つのタイプ(アリル)があります。
- ε2(イプシロン2):やや保護的なタイプとされる
- ε3(イプシロン3):最も多いタイプ。日本人の約7割がε3/ε3
- ε4(イプシロン4):アルツハイマー病リスクと関連があるタイプ
人は両親から1つずつアリルを受け継ぐので、自分のAPOEは2つのアリルの組み合わせになります。
ε4を持つと、リスクはどれくらい変わるの?
研究データによると——
ε4を1つ持つ場合(ε3/ε4など):アルツハイマー病の発症リスクが、ε3/ε3の方と比べて約3〜4倍高まる可能性があるとされています。
ε4を2つ持つ場合(ε4/ε4):約8〜12倍という報告もあります。
日本人の約20〜25%が、ε4を少なくとも1つ持つとされています。
ただし、ここで大事なことを伝えなければなりません。
「リスクがある=必ず発症する」ではない
ε4を2つ持つ方でも、認知症を発症しないまま長生きする方はたくさんいます。
逆に、APOEリスクがない方でも、アルツハイマー病になる方はいます。
APOEはあくまで「リスク因子の一つ」であって、発症するかどうかを決定するものではありません。
以前の記事「遺伝子と生活習慣病の関係をわかりやすく解説」でもお話ししたように、遺伝的リスクがあっても、生活習慣でリスクを下げられる可能性があります。
では、予防のために何ができるか
アルツハイマー病の予防について、注目されているエビデンスをいくつかご紹介します。
運動習慣
有酸素運動が、認知機能の維持に有用である可能性を示す研究が多くあります。 週150分の中強度有酸素運動が、一つの目安とされています。
食事(地中海食)
地中海食(野菜・果物・魚・オリーブオイル中心、赤身肉を控える)が、認知症リスクの低下と関連するという報告があります。
睡眠
睡眠中に、脳内のアミロイドβが洗い流されることが分かってきています。 睡眠不足が続くと、アミロイドβの蓄積が進む可能性があるとされています。
認知的活動
読書、学習、社会的なつながりを保つことが、認知機能の維持に関連するとされています。
これらについて明確なエビデンスを示したものとして、フィンランドで行われたFINGER研究があります。 多因子介入(食事・運動・認知トレーニング・血管リスク管理)によって、認知機能の低下を抑制できる可能性が示されました。
「知ること」が予防の第一歩
「APOE遺伝子を調べたら、不安になるだけじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
でも、私はそうは思いません。
自分のリスクを知ることで、「何をすべきか」が具体的になる。 「なんとなく心配」から「根拠を持って予防する」に変わる。
ゲノム検査でAPOEのタイプを知ることは、予防の出発点になりえます。
サービスの詳しい内容や流れは、ゲノムでYOBO相談の1日をご覧ください。
「認知症が心配」「APOE遺伝子について詳しく聞きたい」という方は、まずはLINEでお気軽にご相談ください。
それでは、また!