こんにちは、院長の宮脇大です。
先日、患者さんからこんなことを聞かれました。
「先生、義母がアルツハイマー病なんですけど・・私も将来なりますよね??」
こういうご質問、本当によく受けるんです。
今日は、認知症と遺伝子の関係の中でも、あまり知られていない「BDNF(ビーディーエヌエフ)遺伝子」のお話をしてみますね。
結論から言うと
BDNFという遺伝子に「運動の効果を左右するタイプ分け」があって、 日本人の約半数がこのタイプを持っている可能性があります。
怖そうに聞こえるかもしれないですが・・大丈夫です。 むしろ自分のタイプを知ることで、より効果的な予防ができるんです。
BDNFって何?
BDNF(脳由来神経栄養因子)は、脳の神経細胞を育てて守るタンパク質のことです。
ちょっと難しい言葉ですが、簡単に言うと 「脳にとっての栄養ドリンク」みたいなもの、です。
このBDNFが脳内(特に記憶を司る「海馬」)でたくさん作られると、
- 神経細胞が新しく生まれやすくなる
- 神経同士のつながりが強くなる
- 記憶力や認知機能が維持されやすくなる
・・といったことが起こります。
そして面白いことに、有酸素運動をするとBDNFが増えることが 多くの研究で示されているんですね。
Val66Met というタイプ分けがある
BDNF遺伝子には「Val66Met(バル・66・メット)」という 一塩基多型(SNP)があります。
遺伝子検査で調べるコードで言うと「rs6265」です。
このSNPは大きく分けて2タイプ:
- Val型(GG型):神経が活性化したときにBDNFが分泌されやすい
- Met型(AG型またはAA型):活動に応じたBDNFの分泌が低下している
Met型を持っていると、脳が活性化したときに自然に出てくるBDNFの量が 少なめになりやすい・・というイメージです。
日本人はMet型が多い
ここが重要なポイントなんですが・・
欧米人の場合、Met型(A遺伝子を少なくとも1つ持つ)は全体の約20〜25%程度。
でも日本人を含む東アジア人では、Met型を持つ割合がかなり高いことが 複数の研究で報告されています。 日本人での保有率は50%以上という報告もあります。
つまり、日本人の2人に1人以上がMet型を持っている可能性があるんです。
「えっ、それって危ないの・・??」
って思いますよね。
でも次のことを知ると、見方が変わってきますよ。
運動すれば、タイプに関係なくBDNFは増える
実は研究で分かっているのは、 有酸素運動をすればVal型でもMet型でも、BDNFが増えるということです。
それどころか、一部の研究では 「Met型の方が運動による認知機能の改善が大きかった」 という報告もあります。
どういうことかというと・・
Met型の人は「普段のBDNFが出にくい体質だからこそ」、 運動でBDNFを意識的に増やすアプローチが特に効果的になってくるんですね。
「弱点を補う」というイメージです。
具体的にどのくらいの運動が効くの?
研究が推奨する運動の目安はこんな感じです。
- ウォーキング・軽いジョギング・水泳などの有酸素運動
- 1日30〜40分、週3日以上
- これを半年〜1年続ける
週3回以上の運動習慣がある高齢者は、そうでない方と比べて 認知症になるリスクがハザード比で約0.62(約38%減少) という研究もあります。
認知症に対する非薬物療法の中で、現時点で発症予防への有効性が 最も確立しているのは「運動療法」だと言われています。
薬じゃなくて、運動なんです。
「自分はどっちのタイプ?」を知ることの意味
「親が認知症だから、自分も心配・・」 「運動はしているけど、本当に効いているのかな・・」
こういった方にとって、自分のBDNF遺伝子タイプを知ることは、 「なぜ運動が大事なのか」を自分ごとで理解するきっかけになります。
Met型と分かれば「だから続けよう!」という動機づけになりますし、 Val型でも他のリスク因子(食事・睡眠・ストレスなど)と合わせて 総合的な予防プランが立てられます。
Doctor’s Fitness 診療所の「ゲノムでYOBO相談」では、 BDNFを含む複数の遺伝子の検査結果を、 医師が健診データと合わせて一緒に読み解きます。
「検査して終わり」ではなく、 じゃあ具体的に何をすればいいかまで一緒に考えるのが、 私たちのスタイルです。
「気になるな・・」という方は、まずはLINEでお気軽にご相談くださいね。
次回は、引き続き認知症と遺伝子のお話をしてみようと思います。
それでは、また!