こんにちは、院長の宮脇大です。
以前の日々雑感の記事でも少し触れましたが、2013年——アンジェリーナ・ジョリーさんが「私はBRCA1遺伝子の変異を持っていて、予防的に乳房切除術を受けた」と公表した時、世界中で大きな話題になりました。
センセーショナルに受け取られた一方で、「Genotypeが治療方針を変えうる」という事実を、一般の方々に広く知らしめた出来事でもありました。
あれから10年以上が経ちました。
日本でも、BRCAをめぐる状況はかなり変わってきています。
BRCA1/BRCA2遺伝子とは
BRCA1(乳がん感受性遺伝子1)とBRCA2(乳がん感受性遺伝子2)は、本来は細胞のDNA修復に関わるタンパク質を作る遺伝子です。
これらの遺伝子が正常に機能しているときは、傷ついたDNAを修復する「守り」の役割を担っています。
ところが、BRCA1やBRCA2に特定の変異があると、このDNA修復機能が低下してしまいます。 その結果、特定のがんが発症しやすくなる可能性があります。
BRCA変異があると、どのくらいリスクが上がるの?
BRCA1変異を持つ場合:
- 乳がんの生涯発症リスク:一般女性の約10〜15%に対して、**50〜70%**になるという研究報告があります
- 卵巣がんのリスクも、同様に高まる可能性があります
BRCA2変異を持つ場合:
- 乳がんリスクは、BRCA1と同様に高まるとされています
- 加えて、男性の乳がんや前立腺がんのリスクとも関連が報告されています
ただし、これらの数値は研究によってばらつきがあり、また変異の種類によっても異なります。 「BRCAに変異があれば必ずがんになる」ということではありませんので、その点はご注意ください。
日本での保険適用の変化
2020年、日本でもBRCA検査に保険が適用されるようになりました。
ただし、現時点では保険適用には条件があります。 主に「転移・再発乳がん」や「転移・再発前立腺がん」など、すでにがんと診断された方を対象としたものです。
「まだがんになっていないけど、家族歴が心配で予防的に調べたい」という方は、現時点では自由診療(保険外)での検査になります。
このあたりの保険適用状況は、今後変わっていく可能性もあります。
「BRCAに変異があるとわかったら」どうするか
これは、遺伝カウンセリングの専門家も含めて、じっくり相談していくことになります。
医学的に選択肢としてあるのは、例えば以下のようなものです。
- 定期的な精密検査(マンモグラフィ、MRI、エコーなど)の頻度を増やす
- リスク低減手術を選択する(アンジェリーナ・ジョリーさんのケースはこれにあたります)
- 特定の予防薬の内服を検討する
どれが「正解」かは、その方の状況、価値観、家族計画などによって異なります。 ゲノムの結果が出た後、医師と一緒に「自分にとって何が合っているか」を考えていくプロセスが大事です。
ゲノム検査で「知る選択」
「家族に乳がんや卵巣がんの方がいる」「若くしてがんになった家族がいる」という方は、BRCA遺伝子のことが気になっているかもしれません。
知ることへの不安もあると思います。
でも、「知ること」によって、定期検診の計画を立てやすくなったり、生活習慣を見直すきっかけになったりします。
こちらの記事でも書いたように、GenotypeとPhenotypeを踏まえた個別化医療の時代が、すでに始まっています。
BRCA検査については、遺伝カウンセリング体制のある医療機関での相談をおすすめしています。
「自分や家族のBRCAが気になる」「どこに相談すればいいか分からない」という方は、まずはLINEでお気軽にご連絡ください。
それでは、また!